あらすじ

吟子(吉永小百合)は、夫亡きあと東京の下町で小さな薬局を営みながら女手ひとつで一人娘小春(蒼井優)を立派に育て上げた。小春の披露宴の前日、弟の鉄郎(笑福亭鶴瓶)に出したはず結婚式の招待状が、宛先不明で返ってくる。鉄郎は、大阪で役者稼業を夢見ながら年月を重ねてしまった大酒飲みの無頼漢だった。

翌日、和やかに披露宴が進む最中、突如として結婚式場に汗だくの袴姿で鉄郎があらわれる。かつて鉄郎は、吟子の夫の十三回忌で泥酔し大暴れしたことがあった。そのことを心配した兄の庄平(小林稔侍)は式場を去ることを鉄郎に促すが、吟子は祝いの席だからと一滴も酒を飲まないことを条件に、披露宴に鉄郎の席を作らせてしまった。

最初は、おとなしくウーロン茶を飲んでいた鉄郎だったが、お酒の誘惑に勝てずにやがて完全に酔っぱらってしまう。鉄郎の独壇場と化してしまった披露宴。

この出来事をきっかけとしてエリート医師である夫(田中壮太郎)と、小春の結婚生活はほころびがはじまる。やがて心に深い傷を負い、自分の居場所を見つけることのできなかった小春は、生まれ育った東京の下町へと舞い戻る。